だけど好き 3




やっと校門が見えてきた。
直ぐ近くに人影があることに気付いた俺は止まって壁の影に隠れて様子を見ることに決めた。
目を凝らし人影を良く見てみると・・・大ちゃん!
二人が向き合って何やら話し合っているようだ。
その内容とは・・・認めたくはないが告白なのだろう。

本当に大ちゃんだ・・・。となると、あそこにいるのは春ちゃん?
大ちゃん・・・もう告られちゃった?OKしちゃった?

見たところ 春ちゃんはセミロングのけっこう可愛い子だった。
大人しそうだけど、大ちゃんに告るなんてけっこう大胆な子なんだろう。もしくは自分の容姿に自信を持っている・・・。
それに小さくって細くって・・・大の好み・・・。
・・・う・・・ぜぇぇぇってー負けねーっ!!!!!!大は俺のモンなんだからな!!
俺はいつも以上に強気に拳に力を込めた。
そして思いっ切り春ちゃんを睨んでやった。
でも恐らくこの距離ではあの二人まで届くことはないだろう。
くそーっ・・・大ちゃん、信じてるからな?


何を話しているのだろう。
表情がいまいち分からず、当然会話も良く聞こえないし・・・。
俺はイライラしながら事の行く末を見守っていた。

すると、大ちゃんが頷いたのだ!
そして春ちゃんは笑顔で校門から出て行った。
またね・・・といった感じに手を振り上げながら。


大ちゃん・・・そんな・・・。
俺はそこから動くことが出来なかった。
だって、頷いたってことはOKしちゃったってことだから。
いや・・・本人に確かめてみないと・・・話だって全然聞き取れなかったし。
・・・やっぱり止めよう。そんなことしたら盗み聞きしていたのがバレるし、第一どう言い出せば良いのか分からない。
俺のさっきまでのイライラも闘争心もすっかりしぼんでしまった。
いつのまにか大ちゃんもいなくなってるし。
俺、可哀相じゃん・・・。
俺は暗くなってきた校門から逃げるようにして教室に鞄を取りに行った。



あれからさっさと鞄を取って、一人でダッシュして家に帰ってきた俺はドサッとベットの上に沈み込んだ。
今までの疲れが一気に出てきたようで、少し苦笑した。
未だ沈みきらない夕日が部屋の天上をうっすら照らしている。
俺ってこんなキャラじゃないんだよ・・・。
こんなに悩むのなんて初めてじゃん・・・受験以来か・・・。
俺は家に帰ってからもずっと大ちゃんのことが頭から離れなかった。
それに今日は一人で帰ってきちゃったし。
悪いことしちゃったかな・・・。
いや、いいんだよな。
彼女出来たんだし。これからは春ちゃんと帰るんだよな。
俺なんかいなくてもいーんだよな・・・。
・・・。
また涙で目が霞んできた。
俺は枕に顔を押しつけてう゛ぅーっと唸った。
俺はこんなに涙もろかったのだろうか・・・。

「大ちゃんのバーカ。」