だけど好き 2




俺はさっそく大ちゃんに会うためバスケ部を訪れていた。
数人の先輩達がバスケのシュート練習をしているだけで、大ちゃんは見当たらない。
何で?いつも張り切って走ってんのに・・・。


「あの〜だいちゃ・・・大祐いますか〜?」
俺は近くにいたバスケ部員に聞いてみた。

「大祐?・・・あ、君・・・桃ちゃん?」
「えっ!?はっ、はい!?」
俺は突然自分の愛称(?)を呼ばれて驚いた声をあげた。
どうして俺の名前を?
「本当にちっさいな!大祐の奴、いつも桃ちゃんのコト話してくんだぜ。
おかげで覚えちゃったし。あ!俺 津川俊太郎!よろしくな!!」
なっ!何だよ、こいつ!!大の友達!?すっげぇ馴れ馴れしいんですけど・・・。
「桃ちゃんじゃない!俺は桃井!桃井潤也だ!!・・・知ってんだろ?
っーか、大ちゃんは?どこにいんの?」
俺はそいつの手を振り払ってぶっきらぼうに聞いた。

「ひひっ 大祐はね〜今呼ばれてんの!」

呼ばれてる?誰に?
目の前の男は面白そうに笑って続けた。
「告白だよ。コ・ク・ハ・ク♪」
はぁ!?こっこくはく!?
「だっ・・・大ちゃんが!?誰に!?」
俺は目を見開かせて言った。だって ここ男子高校だよ!?
いや、大ちゃんならありえる。だってこの俺でさえ大ちゃんは格好良いと思うし。
「へへっ。聞いて驚くなよ?なんと相手は向かい私立桜塚女学院の春ちゃん何だよ!」
は・・・はるちゃん?誰だよ・・・そいつ。
「くぅ〜!羨ましいよなぁ。桜塚と言えば超名門お嬢様私立だし!
第一春ちゃんは俺がチェックしてた子なんだよ〜!つーか、大祐より俺のが格好良くねー!?ねぇ、桃ちゃん?」
「それはないっ!それより、大ちゃんどこに呼び出されたの!?」
俺はこいつの話しなんか全然聞いてなかったけど、最後に聞き捨てならない一言が聞こえた気がしたのでとりあえず否定して
大ちゃんがどこに呼び出されたのか聞き出した。
「多分・・・校門?」
曖昧な答えだったけどそう聞くと俺はいちもくさんに校門めがけて走り出した。
「ありがとー!俊ちゃーん!!」
俺は走りながら桃ちゃんと呼ばれた腹いせにそう叫んだ。
「おー!!また来てくれよな〜。」
気付いてか気付いていないのかはたまたどうとも思っていないのか
俊ちゃんはヘラっと笑って手を振り俺を送り出してくれた。
ちぇーつまんないの!
まぁ、いいや。早く大ちゃんに会いたい!



しばらく走って後もう少しで校門が見えてくる。
しかし、俺はあるコトに気が付いた。
俺が行ったことでどうなるのだろうか。
もちろん断らせるつもりだった。しかし体育館を出てから走っている途中思ってしまったのだ。
自分にはそんな権限なんかないのではないか、と。
だって大が誰かと付き合うなんて考えたこともなかった。
しかし、もしもそうなったら俺はどうなるのだろう。
きっといつもみたいに抱き付けなくなる。それに家にだって迎えになんて来てくれなくなる・・・。
そう思うと目がじんっと潤んで涙が出てきた。

「ばかっ!何泣いてんだよ、俺!!まだ付き合うって決めたわけじゃないだろ!?」
そう行って自分に言い聞かせて目元をごしごしと拭った。
一体、どんな女なんだ 春ちゃんめ!!