どけど好き 1




夏休みも間近。その3週間前一斉期末テストの時期がやってきた。
「あ〜あ。やってらんねーなぁ〜。期末テストの勉強なんてさぁ。」
俺はそう言うと持っていたシャーペンを机の上に放り投げた。すると、
俺の前で黙々と勉強していた真っ白な転校生ー・・・窓白雪人が顔を上げて呆れた顔をした。
「それ 3回目。もう1回言ったらもう勉強見てやんないからな。」
「ええっ!?うそうそ!もー言わないっ!!」
俺は素早く姿勢を正してシャーペンを持ち直した。


・・・。
窓白は人選ミスだったなぁ・・・。
教え方上手いんだけど、間違うと怒るんだもん。

「ねぇ、この人ってさぁ。大正まで生きてたっけ?」
「んー?ああ、そいつなぁー・・・って!今回は歴史は出ないって!」
「え!?そうなの!?何だよー・・・じゃぁ、国語やろ!現国現国〜♪」
「・・・。」
「あ!・・・忘れちゃった・・・。」
「・・・・・・。」

あはははは・・・。
窓白がすっごく呆れた顔してこっちを見てくる・・・。 そう、何を隠そう俺・・・桃井潤也は勉強が大の苦手だ!
この私立に受かったこと奇跡である。
特に暗記が大の苦手。公式とか人の名前とかどーでも良いジャン!数学はけっこう出来るんだけど他は・・・。


「ちょっと待て。お前のノート真っ白だな・・・。授業中何してんだ・・・。」
・・・授業中?
そりゃあ、大ちゃんのこと考えてるに決まってんジャン!
「だいたいさ、有谷に教えて貰えば良いだろ?」
俺よりもっと頭良いんだし・・・。窓白が言って来た。
まぁ、そりゃそーだろうけど。
「だって大に勉強見て貰ったら、大が勉強出来ないジャン。」
俺がそう答えると窓白がまた呆れ顔になった。
「俺の勉強は良いってこと・・・?」
「いや!そうじゃないって。今回は窓白とやるのも良いかなって思っただけ・・・!」
俺は愛想良く笑って上手く誤魔化した。
本当は大ちゃんといるとお互い気にしちゃって勉強が手につかないんだよなー・・・。


「大ちゃんはさぁ、頭良いのに順位一桁にはなれないんだ。何でだか分かる?
俺が大ちゃんの勉強の邪魔しちゃってるからだよ!」
俺はそう言うと人差し指を窓白に向かって伸ばした。
「本人は別になりたくないんじゃないの?」
窓白はこっちも見ないでそう言った。
うぐぐ・・・!なんてノリの悪い奴!!

そーかな〜?俺は一位とかばんばん取って欲しいんだけど・・・。
大ちゃんはもっと評価されるべきなんだよ!そう思うと俺は机を手で思いっきり叩いた。

「いーコト思いついたぁ!! 窓白、勉強見てくれてありがと♪じゃ!」
俺は窓白にそう言うと素早く文芸部を後にした。



「いーことって何だよ・・・。変なことになんなきゃ良いけど・・・。」