窓ぎわに降る雪 感触




窓白の笑顔に不覚にも反応してしまった俺。
危ない!危ない 俺!!なんで男なんかに・・・。窓白は男!男なんだからな!?

ふと 手元にあった本の題名を見ると、何とも意外な本だった。
【世界の珍料理全集】【誰でもクッキング】など、料理に関する本ばかり。
「・・・窓白・・・。お前、料理とか好きなの?」
俺は料理する窓白なんて想像出来ないと思い恐る恐る聞いてみた。
「いや、しないけど・・・。何か 美味しそうだなぁって。」
何だ?変なやつ・・・。腹減ってるのか!?
「腹減ってる?俺さぁ、今帰るとこなんだけど一緒帰んねぇ?何か奢るよ。まぁ、お詫び・・・みたいな。」
なんて無理か?誘ってみたけど・・・。
「え・・・一緒に?あ・・・別に良いけど。でも奢んなくても良いよ。俺本当に怒ってなかったし、本かたすのも手伝ってもらったし。」

一応OKみたいだ。しかし、ここまできたら無理にでも奢る!
「じゃあさ、転校祝い?まぁ、意味分かんねぇけど何か奢ってやりたいんだよ。これなら、良いだろ?」
自分でも本当意味不明な口実だ。
「・・・そうか?じゃあ、奢られてやる。」
「良し!あ・・・でもファーストフードな。手持ち少なかったんだ。アハハ。」
俺が笑うと窓白も笑ってくれた。
何だか一気に仲良くなった感じがした。こいつ案外良い奴なんだな。不器用なだけなのかも・・・。
まぁ、一件落着かな。良かった。
こうして俺は窓白と旧図書室を後にした。


窓白にハンバーガーのセットを奢った後の帰り道。
窓白はマンションに一人暮らしをしていて、そのマンションは俺の家のけっこう近くだということが分かった。
でも窓白が引っ越して来たなんて気付かなかったな。

今度行っていーか?って言ったら、そのうちな・・・って答えた。
俺はマジで行こうと思った。
しばらくそんな話をしていたら・・・
「なぁ。俺さ、文芸部っていうのか?そこ入りたいんだけど。」
窓白がそう言った。
え?・・・だって興味ないんじゃ・・・。
ええっ!?
「いきなりごめん。興味ないって言ったけど、あの時は急に森狩に聞かれて・・・焦って言っちゃったんだ。」
興味なくないってコト?部員としてそれはちょっと嬉しい。
「俺本読んだり、何か書くの好きだから。・・・駄目か?」
だめか・・・って。別にそんなわけないじゃん。・・・って、アレ?
こいつなんで俺に入部したいって言うんだ?俺が文芸部だなんて言ってないぞ?
「おい。何でそれを俺に言うんだよ?」
すると窓白はこう言った。
「え・・・?だって文芸部の部長ってお前なんだろ?教えてくれたんだ。なんか、茶髪で・・・えっと・・・そんな人。」
茶髪?・・・俺のことを話すってコトは・・・。豊か!?
あいつ、俺が窓白のこと怒らせたことを知ってて・・・きっかけ作ってくれたのか?
「ああ。部長っていっても先輩がいるんだ。今入院してるんだけど、先輩は二人。後輩一人。
俺を含めて計四人で 今は俺が部長代理ってわけ。特にやることもないから、サボり部なんて言われてっけどな。
入部するなら全然OKだよ。明日入部届け出してな。」
俺は一通り説明して窓白の顔を見た。
急に色んなコトを言われて困惑している様だ。
パチパチと瞬きさせている。
「また・・・じっくり説明してやるよ。はははっ!」
全部理解しようとしている窓白が可笑しくて笑ってしまった。
するとフイっと顔を背けてしまった。しまった・・・
怒らせたかと思ってゾクッとしたが、
「・・・馬鹿。なに笑ってんだよ・・・。」
と膨れてしまった。
でも別に怒っているわけではなさそうだ。良かった・・・。
はは、何かこいつには振り回されてばっかだな・・・。
まぁ、それも良いかな・・・。


+fin+